2020年11月19日木曜日

空家空地(トピックス): 老朽や損傷が進む「空き家」をどうする? 神戸市の取り組み

  2014年に国土交通省が行った調査では、空き家にする理由を持ち主に聞いたところ、「取り壊すと固定資産税が高くなる」という回答が25.8%に達した。

 

 神戸市の試算によると、200平方メートルの土地であれば、年間28000円であった土地にかかる税額が、家屋を撤去すると、3.6倍の10万円に増える。

 

 そこで国は、2015年に地方税法を改正し、家屋を解体しなくても、前述の2014年の特措法上の「勧告」を受ければ、固定資産税の「住宅用地特例」から除外することにした。

 

 (神戸市では)昨年度は、129件の調査を行い、19件の特例を解除した。今年度は645件の調査を進めており、約100件が対象になる見込みだ。

 

===== 以下に詳細(抜粋)

 2014年に国土交通省が行った調査では、空き家にする理由を持ち主に聞いたところ、「取り壊すと固定資産税が高くなる」という回答が25.8%に達した。

 固定資産税に「住宅用地特例」が導入されたのは1973年のことだ。この特例では、「住宅」を建てる際、200平方メートル以下の敷地なら、固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に軽減される(200平方メートル超はそれぞれ3分の13分の2)とした。当時は、国民がこぞってマイホームを持ちたいと思った時代であり、政府がその後押しをした形となった。

 ところが、制度開始からまもなく50年が経過している現在はどうか。数だけみると、逆に住宅が余っている状況へと変わった。空き家を解体して更地にすると税負担が増えるこの制度は、老朽化した空き家が解体されないという問題を今日に残すこととなった。

 神戸市の試算によると、200平方メートルの土地であれば、年間28000円であった土地にかかる税額が、家屋を撤去すると、3.6倍の10万円に増える。

 そこで国は、2015年に地方税法を改正し、家屋を解体しなくても、前述の2014年の特措法上の「勧告」を受ければ、固定資産税の「住宅用地特例」から除外することにした。

 さらに、老朽や損傷で、もはや住宅といえないものだけでなく、その一歩手前の「必要な管理を怠っている」ものまでも対象になると、各自治体に通知した。誰も住まず、管理されなくなった住宅は、特例をつくった趣旨に合わないからだ。

 神戸市は昨年、この特例解除を積極的に進める方針を決めた。これを提案した固定資産税課長の岡田茂樹は、「はっきり言って、税のことだけを考えるとメリットがない。だが、空き家対策に特効薬がない以上、こうして手を打つべきだと思った」と話す。政令指定都市では、神戸市と京都市だけがこれを推進している。

 昨年度は、129件の調査を行い、19件の特例を解除した。今年度は645件の調査を進めており、約100件が対象になる見込みだ。


<出典>

政治経済 2020/11/19 06:30  Forbes

https://forbesjapan.com/articles/detail/38218/1/1/1



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