2024年9月27日金曜日

(249Rb)【自治会】町内会を、行政・議会に開かれた協議の場にする

【 町内会 ・ 全戸加入 】実際に町内会を支えてきたごく少数の人々が行政の下請け仕事を積極的に引き受けることで、特権的な地位を維持してきた。そのような下請け仕事は誰もがやりたがるわけではないので、どうしても限られた人が引き受けることになる。 


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記事(0922日): あると助かるけど自分はやりたくない…町内会が「タダ乗り住民」に食い潰される前に選ぶべき道、https://diamond.jp/articles/-/350244

 

 盆踊り、子ども会、町内掃除や見回りなど町内会の活動は多岐にわたるものの、常にマンパワー不足の状態にあり、維持することが難しくなっている。特別な権力も財力もなく、ひたすら人々の公共心にのみ訴えかけて、50年以上も維持されてきた奇跡の民間団体を存続するには、どうすればよいのか。本稿は、玉野和志『町内会 ――コミュニティからみる日本近代』(ちくま新書)の一部を抜粋・編集したものです。

 

 町内会には権力も財力もない。ひたすら人々の公共心に訴えるしかない。そのような民間団体が50年以上も維持されてきたのは、奇跡に近いと考えた方がよい。しかも衰えたとはいえ、まだ半分近くの住民を組織しているのである。

 実際に町内会を支えてきたごく少数の人々が行政の下請け仕事を積極的に引き受けることで、特権的な地位を維持してきた。そのような下請け仕事は誰もがやりたがるわけではないので、どうしても限られた人が引き受けることになる。

 自治体の行政や議員がその声を聴かざるをえない特権的な場を、町内会が確保してきたという成果は、住民自治にとってはかけがえのない財産なのである。このことは継承するに値する、捨ててしまうには惜しい成果なのである。

 町内会を、住民が誰でも参加して、行政とともに協議し、決定し、場合によっては議会に要求を突きつける、そんな開かれた協議の場にするというのはどうだろうか。これまで町内会は、行政への協力などの具体的な活動を行う団体と考えられてきた。具体的な活動を行うためには、活動力のある若い担い手を確保する必要があった。そのことがしんどくなってきたのだから、やめてしまおうということである。

 お祭りはお祭り好きの同好会に、子ども会は子どもの活動をやっている団体に、ごみ集積所の管理は環境美化の団体に、親睦行事や防災活動もそれを引き受けてくれる市民団体があるだろう。なければやめてもよいし、業者に委託したってよい。そのための補助金を取る専門スタッフを雇ったっていいのである。

 町内会という日本の近代が生み出したかけがえのない資産を、行政との折衝と議会への政治的要求とを可能にする、市民の協議の場へと受け継ぐことはできないかというのが、筆者の結論なのである。

 

目次

● 町内会は「封建遺制」としてアメリカ占領軍に禁止された

(あればいいけど自分はやりたくない)

● 町内会を滅ぼしかねないフリーライダー問題

● 公共心にのみ支えられた奇跡に近いような存在

(町内会の高齢化と構造的な担い手不足)

● 町内会の担い手は政治にも影響を及ぼす

(行政や議員に一目置かれる稀有な組織)

● 若い担い手がいない町内会はどうすべきか

(町内会は現場での活動からは手を引け)

● 同好会や市民団体のまとめ役となっていく





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