★ 「ヤングケアラー」への関心が全国で高まる中、神戸市が4月に専門部署を設置したのは、須磨区の女性(22)が2019年10月、認知症の祖母を介護中に殺害した事件を受けた対応だ。悲劇を繰り返さないためにも、市は適切な支援体制を整えてほしい。
神戸市は、家族の介護などを年齢に見合わない立場で引き受けている「ヤングケアラー」らを支援する専門部署を新設した。全国的にみても早い立ち上がりで、6月には市立総合福祉センター(中央区橘通)に相談窓口も設ける。市福祉局のこども・若者ケアラー支援担当課長に就いた岡本和久さん(52)に現状や課題を聞いた。
――部署新設から1か月がたつ。
相談対応時に聞き取った内容をまとめるアセスメント(事前評価)シートや、学校や児童相談所がヤングケアラーを早期発見するためのチェックリストの作成などを進めています。
――4月に「中高生の20人に1人がヤングケアラーに該当する」との国の調査結果が公表された。
神戸市だけで1万人を超える計算で、決して少なくありません。一方、福祉現場の感覚からすれば「もっと多いのでは」とも感じます。子どもたちのかけがえのない時間が、家族のケアだけで失われることがあってはいけません。適切な支援をしていくため、実態を把握する必要があります。
――私たちができることは。
「身近にヤングケアラーがいるかもしれない」という視点を持つよう心がけてほしいです。この問題は「他人の家のことは口出ししない」という近年の風潮もあり、社会に埋もれてしまっていました。SOSの出し方や逃げ方がわからないまま過度な負担を抱えている子どもたちを早く見つけられる環境作りを、地域や学校、行政などが進めていく必要があります。
<出典>
2021/05/10
05:00 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/local/hyogo/news/20210509-OYTNT50109/
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